「さかなの王様」 作/其田正治
むかしの空は低く、人の頭ほどの所にありました。
空には 水があり、そこには魚が 泳いでいました。
人は 空に手をのばして 魚をとって
豊かな暮らしがありました。
すきな時に魚がとれ、 食べるものには
こまることは ありません。
その頃、人間と魚の王様は ある約束をかわしました。
一つ 魚をとっても きれいに全部食べること。
二つ 子どもの魚は食べないこと。
三つ 空の水を 汚さないこと。
でも 人間は 豊かさのあまり いつしか
この約束を 忘れてました。
魚をとっても 食べずにくさらせたり
小魚をとって 遊んだり
汚れた手を 空の水で洗ったり
あまりの わがままさに 魚の王は怒りました。
すべての魚をあつめました。
「よく聞け。人間の欲のために
魚はほろびてしまう、力をあわせて叫ぶんだ」
空の水は 波をたてはじめ
地面と空が まざりだしました。
人は 何が起こったのかわからすあわてました。
その様子が 三日三晩つつぎ
ようやく 波もおさまりました。
その日から 空にあった水は 地面より低くなり
空には 一滴の水も魚もいなくなりました。
「さかなの王様」陶H250×W185×R140mm
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